文献ランキング(各10件)

著者
出口 拓彦 吉田 俊和
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.160-169, 2005-11-30 (Released:2017-02-07)
被引用文献数
8

The purpose of the present research was to investigate the relationships among normative consciousness, individual traits, and the frequency of private conversations, in the form of whispering, amongst students during a college lecture. In the first study, the relationships among normative consciousness against whispering, perspective taking, social skills, and the frequency of whispering were examined through a questionnaire survey consisting of 251 respondents. The results showed that students who whispered frequently indicated high perspective taking or social skills. In the second study, the relationships among the goals of college life, normative consciousness, and the frequency of whispering were focused upon. The relationships between whispering and feelings of adjustment were also investigated. A questionnaire survey was conducted, and 369 responses were obtained. The results showed the following. (1) Despite having a high normative consciousness, students who valued the development of interpersonal relationships during college life were more likely to have conversations irrelevant to the lecture. (2) There were positive relationships between whispering and feelings of interpersonal adjustment.
著者
内海 哲史
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.68-79, 2023 (Released:2023-06-01)
参考文献数
61

最近の5 年間で,インターネットにおけるふくそう(輻輳)制御アルゴリズムに関する論文数がV字回復してきている.本稿では,そもそもなぜ,輻輳制御アルゴリズムが必要なのかという観点から,輻輳崩壊,Bufferbloat といったインターネットにおける輻輳問題について述べる.また,インターネット史上において,代表的な輻輳制御アルゴリズムを紹介し,輻輳制御アルゴリズムの研究領域と研究手法について述べる.更に,輻輳制御アルゴリズムの最近の研究動向と今後の展望について述べる.
著者
今野 暁子 及川 桂子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.39-44, 2003-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

一般の調理に鉄鍋を使用することによりどの程度の鉄が溶出するかについて検討し,以下の結果を得た.1.鉄の溶出量は添加調味料に影響され,食酢,トマトケチャップ,食塩の順に多く,特に食酢添加における鉄溶出量は顕著に増加した.さらに加熱時間が長いほど,鉄溶出量が増加した.2.鉄の溶出量は油の使用により減少する傾向がみられた.3.鉄鍋で調理した食物中の鉄含量はステンレス鍋で調理したものに比べて多かった.4.鉄鍋,鉄びんから溶出した鉄の78~98%が吸収されやすい2価鉄であり,中でも食酢添加では98%とほとんど2価鉄で,しかも安定性に優れていた.以上の結果は,調理における鉄鍋の使用は生体利用性の高い鉄摂取量を増加させ,貧血改善に有効であることを示唆するものである.
著者
劉 振業
出版者
現代民俗学会
雑誌
現代民俗学研究 (ISSN:18839134)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-18, 2024-03-31 (Released:2024-04-09)
参考文献数
19

Gamblers worldwide have diverse prediction techniques when it comes to gambling, which is filled with uncertainty. However, to quantify and deal with this uncertainty, existing gambling research tends to favor the use of “modern science = probabilistic thinking.” Aligning with a “Western rationality” perspective, alternative prediction techniques not based on this approach are often dismissed as “superstition.”However, rationality is not necessarily exclusive to modern science. Can prediction techniques labeled as “superstition” be reinterpreted as alternative “indigenous knowledge” that gamblers use, employing folk imagination to address the uncertainty of gambling? This paper examines Chinese gamblers’ gambling prediction techniques in the card game baccarat at Macau casinos, focusing on the concept of “roads,” and considers them as continually generated indigenous knowledge with their own rationality and validity.
著者
西山 教行
出版者
日本歴史言語学会
雑誌
歴史言語学 (ISSN:21874859)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.161-169, 2023-12-27 (Released:2024-04-15)

フランスはヨーロッパ諸国の中でも比較的早い時期に言語整備を行い,1635年に リシュリューによって設立されたアカデミーフランセーズはフランス語の標準化に 重要な役割を果たした。アカデミーフランセーズは辞書,文法書,修辞学,詩学の 編集を通じてフランス語の純化と整備をめざしていた。辞書の編集は現在にいたる まで継続しているものの,文法書は1932年にいちど限り刊行され,また他の著作に ついてはひとたびも刊行されていない。 アカデミーフランセーズの辞書は1693年に刊行されたが,その重要な目的は「ひ とつのフランス語」を提示し,フランス語の顕彰を通じて国王の威信をヨーロッパ 諸国に誇示することであった。そこでのフランス語の規範は宮廷や上流社会の「良 き慣用」に基づくもので,古典主義文化のオネットオムに向けられていた。 このフランス語は時代とともに変化し,アカデミーフランセーズの辞書も科学技 術用語などを取り入れていた。ところが大革命のただなかで刊行された第 5 版はフ ランス語の標準化にもまして,革命イデオロギーや革命の生み出した新語の表明に 専念し,また王政廃止後の共和国市民へ向けたフランス語の整備を標榜している。 19世紀以降,アカデミーフランセーズはイデオロギー装置としての第 5 版を否認し たが,革命の生み出した社会現象を表現する新語はその後の言語生活に統合されて いった。 20世紀におけるフランス語の標準化は政府機関によっても実施され,法制上の規 定を伴っているのに対し,アカデミーフランセーズの辞書は言語法ではなく,機関 の権威や威信を根拠とするもので,公的な文化機関としてフランス語への介入を実 施しており,これが統制されたフランス語の表象の構築にも貢献している。
著者
小林 隆一 千葉 浩行 藤原 康平 渡部 雄太 滝沢 耕平 桑原 聡士 竹村 昌太
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2020年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.680-681, 2020-03-01 (Released:2020-09-03)

近年、AMの電気的応用への期待が高まっている。我々は構造物であり、かつ電気的特性も求められる導波管に着目した。樹脂AMでは光造形、材料噴射、粉末床溶融結合(めっきによって表面に導電性を付与した)、金属AMでは粉末床溶融結合を用いて導波管を造形した。各導波管の75-110GHzの透過損失を測定したところ、市販の導波管と比較すると性能は劣るものの、粉末床溶融結合(樹脂)の損失が最も小さい結果となった。
著者
今野 暁子 及川 桂子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.39-44, 2003-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

一般の調理に鉄鍋を使用することによりどの程度の鉄が溶出するかについて検討し,以下の結果を得た.1.鉄の溶出量は添加調味料に影響され,食酢,トマトケチャップ,食塩の順に多く,特に食酢添加における鉄溶出量は顕著に増加した.さらに加熱時間が長いほど,鉄溶出量が増加した.2.鉄の溶出量は油の使用により減少する傾向がみられた.3.鉄鍋で調理した食物中の鉄含量はステンレス鍋で調理したものに比べて多かった.4.鉄鍋,鉄びんから溶出した鉄の78~98%が吸収されやすい2価鉄であり,中でも食酢添加では98%とほとんど2価鉄で,しかも安定性に優れていた.以上の結果は,調理における鉄鍋の使用は生体利用性の高い鉄摂取量を増加させ,貧血改善に有効であることを示唆するものである.
著者
内海 哲史
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.68-79, 2023 (Released:2023-06-01)
参考文献数
61

最近の5 年間で,インターネットにおけるふくそう(輻輳)制御アルゴリズムに関する論文数がV字回復してきている.本稿では,そもそもなぜ,輻輳制御アルゴリズムが必要なのかという観点から,輻輳崩壊,Bufferbloat といったインターネットにおける輻輳問題について述べる.また,インターネット史上において,代表的な輻輳制御アルゴリズムを紹介し,輻輳制御アルゴリズムの研究領域と研究手法について述べる.更に,輻輳制御アルゴリズムの最近の研究動向と今後の展望について述べる.
著者
劉 振業
出版者
現代民俗学会
雑誌
現代民俗学研究 (ISSN:18839134)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-18, 2024-03-31 (Released:2024-04-09)
参考文献数
19

Gamblers worldwide have diverse prediction techniques when it comes to gambling, which is filled with uncertainty. However, to quantify and deal with this uncertainty, existing gambling research tends to favor the use of “modern science = probabilistic thinking.” Aligning with a “Western rationality” perspective, alternative prediction techniques not based on this approach are often dismissed as “superstition.”However, rationality is not necessarily exclusive to modern science. Can prediction techniques labeled as “superstition” be reinterpreted as alternative “indigenous knowledge” that gamblers use, employing folk imagination to address the uncertainty of gambling? This paper examines Chinese gamblers’ gambling prediction techniques in the card game baccarat at Macau casinos, focusing on the concept of “roads,” and considers them as continually generated indigenous knowledge with their own rationality and validity.
著者
喜多 一 森村 吉貴 岡本 雅子
巻号頁・発行日
pp.1-239, 2021-10-08

本書は京都大学の全学共通科目として実施されるプログラミング演習(Python)の教科書として作成されたものです.
著者
西山 教行
出版者
日本歴史言語学会
雑誌
歴史言語学 (ISSN:21874859)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.161-169, 2023-12-27 (Released:2024-04-15)

フランスはヨーロッパ諸国の中でも比較的早い時期に言語整備を行い,1635年に リシュリューによって設立されたアカデミーフランセーズはフランス語の標準化に 重要な役割を果たした。アカデミーフランセーズは辞書,文法書,修辞学,詩学の 編集を通じてフランス語の純化と整備をめざしていた。辞書の編集は現在にいたる まで継続しているものの,文法書は1932年にいちど限り刊行され,また他の著作に ついてはひとたびも刊行されていない。 アカデミーフランセーズの辞書は1693年に刊行されたが,その重要な目的は「ひ とつのフランス語」を提示し,フランス語の顕彰を通じて国王の威信をヨーロッパ 諸国に誇示することであった。そこでのフランス語の規範は宮廷や上流社会の「良 き慣用」に基づくもので,古典主義文化のオネットオムに向けられていた。 このフランス語は時代とともに変化し,アカデミーフランセーズの辞書も科学技 術用語などを取り入れていた。ところが大革命のただなかで刊行された第 5 版はフ ランス語の標準化にもまして,革命イデオロギーや革命の生み出した新語の表明に 専念し,また王政廃止後の共和国市民へ向けたフランス語の整備を標榜している。 19世紀以降,アカデミーフランセーズはイデオロギー装置としての第 5 版を否認し たが,革命の生み出した社会現象を表現する新語はその後の言語生活に統合されて いった。 20世紀におけるフランス語の標準化は政府機関によっても実施され,法制上の規 定を伴っているのに対し,アカデミーフランセーズの辞書は言語法ではなく,機関 の権威や威信を根拠とするもので,公的な文化機関としてフランス語への介入を実 施しており,これが統制されたフランス語の表象の構築にも貢献している。
著者
小林 隆一 千葉 浩行 藤原 康平 渡部 雄太 滝沢 耕平 桑原 聡士 竹村 昌太
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2020年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.680-681, 2020-03-01 (Released:2020-09-03)

近年、AMの電気的応用への期待が高まっている。我々は構造物であり、かつ電気的特性も求められる導波管に着目した。樹脂AMでは光造形、材料噴射、粉末床溶融結合(めっきによって表面に導電性を付与した)、金属AMでは粉末床溶融結合を用いて導波管を造形した。各導波管の75-110GHzの透過損失を測定したところ、市販の導波管と比較すると性能は劣るものの、粉末床溶融結合(樹脂)の損失が最も小さい結果となった。
著者
谷口 忠大 高橋 佑輔
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.571-580, 2011 (Released:2012-01-21)
参考文献数
30
被引用文献数
1 3

In this paper, we proposed a simple urban model including individuals' travel behavior and residential choice behavior. Multi-agent simulation framework is described. We performed several experiments to evaluate political measures which will solve problems about motorization. As a result, drastic mobility management scheme increased the number of travelers using a train, and the distribution of residences became compact. However, it also increased many agents' total costs of living because of high rent and several kinds of cost including time cost and fatigue cost to reach a station. On the other hand, raising gas price made CO2 emission less and kept total cost of living lower than the drastic mobility management measure. This suggests that to have people use train or bus by changing their attitude might be socially more expensive than to make people chose whether they use car or not under the condition that gas price is raised.
著者
寺町 晋哉
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.10, pp.10_76-10_83, 2022-10-01 (Released:2023-02-23)
参考文献数
25

2021年度現在、高校卒業後に4年制大学へ進学する者の数は男子57.4%、女子51.3%であり、二人に一人以上が進学しているが、実は二つの「足枷」が存在している。一つは非大都市圏、いわゆる「地方」であり、どの地域に在住しているかによって大学進学のハードルは異なっている。もう一つは「性別」であり、全国の大学進学率において女子が男子を上回ったことはこれまで一度もなく、特に「地方の女子」は「地方と性別」双方が大学進学の「足枷」になる。 大学進学には社会的諸条件が影響するため、「大学進学はやる気さえあれば誰でも可能」といった個人の努力や意志の問題へ矮小化してはならない。大学という進路選択が開かれた社会を目指すためにも、「足枷」をなくしていく政策や支援制度が必要である。その一方で、大学進学を選択しなくとも安心して暮らせる社会を基盤に据えることも重要である。
著者
今野 暁子 及川 桂子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.39-44, 2003-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

一般の調理に鉄鍋を使用することによりどの程度の鉄が溶出するかについて検討し,以下の結果を得た.1.鉄の溶出量は添加調味料に影響され,食酢,トマトケチャップ,食塩の順に多く,特に食酢添加における鉄溶出量は顕著に増加した.さらに加熱時間が長いほど,鉄溶出量が増加した.2.鉄の溶出量は油の使用により減少する傾向がみられた.3.鉄鍋で調理した食物中の鉄含量はステンレス鍋で調理したものに比べて多かった.4.鉄鍋,鉄びんから溶出した鉄の78~98%が吸収されやすい2価鉄であり,中でも食酢添加では98%とほとんど2価鉄で,しかも安定性に優れていた.以上の結果は,調理における鉄鍋の使用は生体利用性の高い鉄摂取量を増加させ,貧血改善に有効であることを示唆するものである.
著者
喜多 一 森村 吉貴 岡本 雅子
巻号頁・発行日
pp.1-239, 2021-10-08

本書は京都大学の全学共通科目として実施されるプログラミング演習(Python)の教科書として作成されたものです.
著者
松崎 かさね
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.387-406, 2022-12-31 (Released:2023-04-21)
参考文献数
38
被引用文献数
1

本稿が取り上げるのは、パチプロ(パチンコ・パチスロで生計を立てる人)として約20年間生活してきた経験を持つAの語りである。彼は、プレーで最も重要なことは「期待値の積み上げ」であると語った。これは、期待値が高い台で繰り返しプレーすることであり、当時の彼はプロの中で一番になることを目指し、この実践に日々励んでいたという。けれども一方で、彼はこの実践を適度に抑えることのできる人間こそレベルの高いプロであるとも語った。本稿の目的は、この一見相反する事柄——「期待値を積み上げる」こととそれを抑えること——がなぜAにおいてどちらも重視されるのかを考察することである。彼によれば、「期待値の積み上げ」で重要なのは、その都度のゲームの結果よりも、期待値を根拠に打ち続けるプロセスの方であり、この実践によって長期的には収支がプラスに上向いていくという。さらに、彼は店や他の客に配慮してその日の稼ぎを適度に抑えることが、プロを長く続けるうえで重要なことであるとも語った。つまり、その場の利益という、賭けにおいてつい注目しがちなものから一旦視点を「はずし」、長期的な見方へと転換することが彼の思考の要諦だったのである。これを踏まえて本稿は、「期待値の積み上げ」を抑えることはその積み上げを至上とするプロに相応しいプレーであったことを提示する。
著者
山口 秀輝 齋藤 裕
出版者
特定非営利活動法人 日本バイオインフォマティクス学会
雑誌
JSBi Bioinformatics Review (ISSN:24357022)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.52-67, 2023 (Released:2023-06-03)
参考文献数
156

ここ数年、深層学習に基づく生物配列の解析技術が台頭してきている。本稿は、その中でも特に急速に発達しているタンパク質の言語モデル(protein language models: pLMs)に関する総説である。アカデミアはもとより巨大IT企業も研究参画するこの技術は、基盤となるモデル開発がすでに一段落し、多様な生物学的・工学的タスクに対する応用結果が続々と報告されるフェーズに入っている。本稿では、最近のpLMsで中心的に用いられるTransformerの内部機構や学習方法、pLMsが獲得した生物学的情報の解析といった基本的な事項の解説から始め、配列解析、タンパク質機能予測・機能改変、立体構造予測、そして大規模言語モデルによる機能性タンパク質配列生成まで、実験的検証事例を交え幅広いテーマを紹介する。最後に、今後のpLMs研究が迎えうる展開について、萌芽的結果を踏まえつつ考察したい。
著者
内海 哲史
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.68-79, 2023 (Released:2023-06-01)
参考文献数
61

最近の5 年間で,インターネットにおけるふくそう(輻輳)制御アルゴリズムに関する論文数がV字回復してきている.本稿では,そもそもなぜ,輻輳制御アルゴリズムが必要なのかという観点から,輻輳崩壊,Bufferbloat といったインターネットにおける輻輳問題について述べる.また,インターネット史上において,代表的な輻輳制御アルゴリズムを紹介し,輻輳制御アルゴリズムの研究領域と研究手法について述べる.更に,輻輳制御アルゴリズムの最近の研究動向と今後の展望について述べる.
著者
磯 直樹
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.91-113, 2022-07-30 (Released:2024-04-01)
参考文献数
40

ブルデューの文化資本は,支配と不平等に文化がどのように関わるかを分析するための概念である。本稿では,この概念に焦点を当てつつ,ブルデューが「階級」を支配と不平等にどのように関わらせて概念化したのかを考察する。さらに,他の社会学者によって,ブルデュー派階級分析と呼びうる理論と方法がどのように展開されてきたかを論じる。 ブルデューの階級分析で軸になる概念は「社会空間」である。これは階級構造に意味が近いが,ブルデューによれば「社会階級」なるものは実在しない。「実在するのは社会空間であり,差異の空間であって,そこでは諸階級が潜在的状態で,点線で,つまりひとつの所与としてではなく,これから作るべき何かとして実在する」という。階級分析を行いつつも「社会階級」の実在を否定するという,この一見分かりにくい論理構造によってブルデューの「階級」分析は構成されている。社会空間における行為者の客観的位置は,資本の種類と多寡によって決まる。複数の行為者の位置が同じでも,各々のハビトゥスの違いによって思考や行為は異なってくる。ハビトゥスは複数の性向の体系として,新たに実践を産み出していく。 ブルデュー派階級分析は,ブルデュー以外の社会学者と統計学者によって展開されてきた。フランスの幾何学的データ分析の発展がブルデュー社会学と合流し,フランスだけでなく,ノルウェーやイギリスにおいてブルデュー派計量分析と呼べるものが21世紀に入ってから体系化されていった。ブルデュー派階級分析は質的方法も採り入れ,支配と不平等の社会学として発展を続けている。
著者
高田 知紀 梅津 喜美夫 桑子 敏雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_167-I_174, 2012 (Released:2013-01-30)
参考文献数
32
被引用文献数
1 10 5

東日本大震災では,多くの神社が津波被害を免れたことが指摘されている.本研究では,日本の神社に祀られる祭神の多様性は,人びとの関心に応じた差異化の結果であるという仮説から,宮城県沿岸部の神社についてその祭神と空間的配置に着目しながら被害調査を行った.祭神については特に,ヤマタノオロチ退治で知られるスサノオノミコトに着目した.スサノオは無病息災の神として祀られることから,洪水や津波といった自然災害時にも大きな役割を果たすと考えられる.また,地域の治水上の要所に鎮座していることが多い.東北での調査から,スサノオを祀った神社,またスサノオがルーツであると考えられる熊野神社は,そのほとんどが津波被害を免れていることを明らかにした.この結果は,地域の歴史や文化をふまえたリスク・マネジメントのあり方について重要な知見を提供する.
著者
嵩原 広宙 田中 秀樹 岩城 達也
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-17-00030, (Released:2018-02-09)
参考文献数
22

Emotional state before sleep affects the subsequent sleep onset. The purpose of this study was to investigate how positive/negative emotion before sleep effected hypnagogic state. The movies eliciting positive or negative emotion were presented before sleep. Hypnagogic imagery was recorded as a probe of emotional experience and EEG microstate analysis was used for finding the emotion related EEG activities. The score of emotion ratings for hypnagogic imagery indicated that positive emotion was reported in not only positive condition but also in negative condition. This implied that hypnagogic state might be accompanied by positive emotion. Comparing the appearance of maps obtained from microstate analysis between conditions, the map of right temporal activity was significantly greater in positive condition while the map of the left frontal activity was greater negative condition. These results suggested that the emotion not just in presleep but also in hypnagogic state was involved in sleep onset process.
著者
武田 宗和 名取 恵子 諸井 隆一 原田 知幸 矢口 有乃 稲垣 伸洋
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.735-739, 2013-05-31 (Released:2013-07-26)
参考文献数
10

要旨:【症例】37歳飲酒歴のない女性。意識障害で発見され救急搬送,既往は躁鬱病と境界型人格障害。来院時ショック状態で下血を認め,緊急下部内視鏡検査で直腸から左側結腸まで全周性・連続性の発赤とびらんを認めた。翌日,薄めたウオッカ約1L(推定アルコール濃度49%)を自ら注腸したことが判明,虚血性腸炎に準じ保存的治療を選択。8病日の内視鏡検査では直腸からS状結腸までは粘膜の修復が認められ保存的治療を継続した。4週間後,下行結腸の高度な腸管狭窄を合併したため,本人との話し合いの結果,横行結腸に人工肛門を造設することとなった。【考察】過去の報告では,アルコール注入による直腸結腸炎は保存的治療で治癒することが多いとされる。本例は高濃度のアルコールが大量に注入され広範囲に腸管が傷害された上にショック状態に陥り,腸管虚血をきたしその治癒過程で腸管狭窄を合併したものと推察された。本例における治療方針に関する問題点をふまえ文献的考察を加え報告する。
著者
近江 龍一 西原 陽子 山西 良典
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

Web上に投稿される情報の中には青少年にとって有害な情報,特に猥褻な意味を持つ言葉は直接記述されず暗喩により表現されることが多い.本研究の目的は暗喩を用いて表現されている有害な文に対してフィルタリングを行うことである.提案手法では有害表現が含まれる文をドメインごとに機械学習し有害表現の分類器を作り,有害表現をフィルタリングする.提案手法の有用性を評価する実験をR-18指定の小説を使い行った.
著者
酒向 貴子 川田 伸一郎 手塚 牧人 上杉 哲郎 明仁
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Museum of Nature and Science. Series A, Zoology = 国立科学博物館研究報告. A類, 動物学 (ISSN:18819052)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.63-75, 2008-06

The distribution of latrines of the raccoon dog, Nyctereutes procyonoides, was examined from July 2006 to December 2007 in the Imperial Palace grounds, Tokyo, Japan. The raccoon dog is accustomed to defecate at fixed locations, forming holding latrines; thus the distribution of latrines is a good indicator of their abundance. The results suggest that the latrines are widely scattered in the study site, but are more dense in the Fukiage area, where an old-growth broad-leaved forest is established. The latrine sites are used more frequently from September to December, as the number of fresh feces increased in the autumnal season. To examine the seasonal food changes of the raccoon dogs, 10 pieces of feces from some latrines were collected every month and analyzed the indigestible contents in the sampled feces. The food items identified consisted of animal, plant and man-made materials, suggesting that the raccoon dogs were highly omnivorous. The animal materials found from the feces included mammals (4% of total feces), birds (37%), reptiles (2%), amphibians (3%), insects (95%), chilopods (56%), isopods (2%) and gastropods (12%). Invertebrates were the most abundand food item throughout the year. Three coleopteran families, the Carabidae, Staphylinidae and Scarabaeidae, accounted for a large proportion of the insects and they showed seasonal fluctuations. These suggest that the raccoon dogs fed on them as major animal food resources in the study site, and perhaps the seasonality is related to the temporal changes of availability of the insects. The majority of plant materials found in the feces was a variety of seeds, suggesting that the raccoon dogs fed on berries and fleshy fruits throughout the year. The occurrence of seeds decreased from March to April, which coincided with a low availability of fruits. The seeds found in feces were categorized into three types : (1) the short-term berry type including Prunus (Cerasus) spp., Moms spp., Rubus hirsutus and Machilus thunbergii, which occurred only a short term after their fruiting periods ; (2) the long-term berry type, including Celtis sinensis, Aphananthe aspera and Swida controversa, which occurred continuously for three or more months after the fruiting periods ; (3) the acorn type, including Castanopsis spp., Quercus spp. and Ginkgo biloba, which occurred in early spring (January to April) when the other fruits are scarce. The seasonal change of the three fruit types implies that the raccoon dogs consume the available fruits in relation to the successive fruiting periods. The proportion of artificial materials found in the feces was considerably lower than in previous studies carried out in the suburbs of Tokyo, suggesting that the raccoon dogs in the study site strongly depend on natural foods. Most of the natural food items were native to Japan since the past Edo period. Thus we conclude that the preservation of biodiversity in the Imperial Palace grounds was essential for the re-colonization by the raccoon dogs of the Tokyo metropolitan area after the 1970s.
著者
松阪 崇久
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.90-106, 2018 (Released:2018-12-27)

動物ショーやテレビ番組に出演するチンパンジー・パンくんの映像作品を用いて、パンくんの感情表出についての分析を行った。映像作品でのパンくんは、着衣で二足歩行を行うことが多く、自然なチンパンジーの姿とは大きく異なっていた。テレビ番組用の映像と動物ショーの本番の映像では、それ以外の動物園などでの映像と比べて、チンパンジー本来の姿とのズレが大きく、感情表出に関しては、ポジティブな笑顔や笑いの表出よりも、恐怖・不安・不満といったネガティブな表出が多い傾向があった。とくにテレビ番組では、パンくんに試練を課し、不安やストレスを与えるシーンもしばしば見られた。このようなパンくん自身の感情表出以外に、テロップ、ナレーションや、チンパンジーの音声の追加によって、パンくんの感情を演出または改変する場面もあった。以上の結果を元に、ショーやテレビにチンパンジーが出演することの問題点について議論した。また、動物の福祉を考える上で、笑いや遊びに注目する意義について考察した。
著者
板屋 民子 飯島 正雄 斉藤 貢一 正木 宏幸 青木 敦子 斎藤 章暢 安藤 佳代子 徳丸 雅一 坂東 正明
出版者
Japanese Society of Food Microbiology
雑誌
食品と微生物 (ISSN:09108637)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.203-212, 1992-03-20 (Released:2010-07-12)
参考文献数
10

A large number of Photobacterium phosphoreum (6-7 log/g) was isolated from “tamagoyaki” (a kind of nigirisushi; Japanese food) that had been lumineferous in the dark. The isolates were smeared on the surfaces of sliced “tamagoyakis”. After the incubation at 10°C for 48 hr or at 25°C for 24 hr, the surfaces became luminous. It was indicated that this abnormality of “tamagoyaki” was caused by contamination with and multiplication by P. phosphoreum.On the surface of “tamagoyaki”, the bacteria in an early growth phase in such a small number as 4 log/g luminesced. Furthermore, the luminescence was observed when pieces of squid, boiled prawn or “yakichikuwa” (a kind of food made of fishes) with the bacteria were incubated, but not observed on pickled Japanese gizzard shad. Nevertheless the the bacteria grew on the surface of tuna, but no luminescence was observed on it.The bacteria produced a small amount of histamine on squid and tuna (less than 250μg/g), and their ability to putrefy food seemed to be low.The opitmum concentration of sodium chloride for growth of the bacteria in a medium was 3%, but they grew in food containing sodium chloride less than 0.5%. When sodium chloride in the medium was replaced by potassium chloride, calcium chloride, magnesium chloride, ammonium chloride or sodium phosphate, the bacteria were still able to grow but unable to grow when replaced by potassium phosphate or sucrose. The bacteria metabolized arginine by arginine decarboxylase but not by arginine dehydrolase.

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